フジイコーポレーション株式会社様 訪問 感想レポート
平成29年9月12日にフジイコーポレーション株式会社様に訪問いたしました。
当社は除雪機や草刈機高所作業機などを生産し、販売している会社です。
会社入り口前には取引先の所在地方向を向いた看板が設置されており、それはローマ字で書かれていました。後でお話を聞くとグローバルニッチと言う表現で製品を海外に販売して行こうという姿勢がこの様な形になって表現されているのだとわかりました。
フジイコーポレーション様以外にも他の会社や、地場産業振興センターでもお話を聞いてわかったことですが、燕三条の地域では自社一貫生産そして販売までされている企業が多いと分かりました。これは地域性と思われます。私の地元である岐阜県関市では燕三条と同じ様に金属加工、特に刃物の生産が盛んですが、企業での一貫生産ではなく、各工程を分担して受け持つ形での分業制が多く取られています。よく分かりませんがこれは日本刀を生産してきた時の名残なのかもしれません。
また工場を拝見して、工場内を広く使うよう努力されているように見えました。
「いい会社」の工場を見学すると、同じ様に物が少なく、これだけの道具と材料の配置で大丈夫だろうかと心配するような配置のところが多いです。
お話を聞くと、働きやすい環境づくりとして物を少なくし広く取りすれ違う時、時には高齢者や障がい者が動いたときぶつかって怪我が無いように、と様々な理由ですが、通路を広くし物を少なくしています。今回は更に物を置く棚の高さを背の高さより低くし、安全を確保する努力をされていました。
在庫を置くかどうかの話し合いで、従業員との話し合いがあったと聞きました。ここまで真剣に話し合える従業員がいること自体が素晴らしいことだと思います。
その他資格レスとして「資格というものは何か危険があったから資格になった」との考え方で、基本的に資格の必要な道具をなるべく使わない方針でした。フォークリフトを使わずキャスターを用いることで安全を確保していました。
普通に考えれば機械を使うことで効率化を図り、労働者も力は使わずに仕事ができるとして資格の必要な機械を利用する方向へ進むと思われますが、従業員の安全を考えて全く逆の方向へ進まれたということで、これは扱っている商品の性格上出来る部分がありますが、興味深いです。
製品が主に受注生産と言うことで基本的に計画的な生産ができると思いますが、生産は受注変動に対応できるよう、生産ラインが作られていることに感心しました。
私は以前、工場で働いていて、溶接ロボットも操作していました。確かパナソニック製だったと思いますが、機械を見ていて懐かしく思いました。
工場内見学から戻ると、藤井社長自ら会社説明をしてくださいました。
地域への貢献としてお金を取る方法ではなくお金を落とす方になると言う地方にとても大切な考え方であると思いました。
また資格若しくは熟練がいらない工場作りの例として粉体塗装は社長自らがやってみてできたから導入するという考え方もまた非常に面白いと思います。これによって障害者雇用もやりやすくなると思います。仕事を切り出して障害者ができる仕事を見つける、その上で資格や熟練がなくてもできる仕事が基本であれば、様々な場面で様々な個性がある人が活躍できるのではないかと思います。
当社でも従業員の多様性を重視した往診とされており、女性だけで製品開発や展示会に出てもらうなど、また外国籍の従業員もいらっしゃいます。
イスラム教の方もいらっしゃいますが、一日に5回のお祈りは家でまとめて行ってもらっているなど、政治と宗教は外でやってもらって、会社は働いて幸せになる場所であると伝えています。
人材採用や人材育成について質問しましたが、別なことはしていない、入社してきた人をどう生かすのかの問題の方が大切だとおっしゃいました。中小企業として大変だとは思いますが正しい考え方だと思います。
社長の立ち位置として「オフライン」だから工場へ手伝いに行っても邪魔だからと言われる、そのため外へ行って良い方法を見つけては持ち帰り「あの会社がやっていたからウチでもやってみよう」「なぜならあの会社はうまくいっているから」と、提案し従業員にやってもらう。従業員は悩みながらも取り組んでいく姿勢は、見事な役割分担だと思います。
また、フジ社長は企業理念はあまり重視されていないと言うお話がありました。しかしお話を聞くと創業から152年続く間の中で、代々受け継がれてきた家訓の様なものが、口伝の形で伝わっており、その言葉が従業員にも伝わり組織の文化として根付いている様に見受けられました。
今後、会社が大きくなっていく中で、社長の言葉が直接伝わらなくなっていく可能性があります。その様な時、組織をある程度形作るものは形に残した企業理念や家訓だと思います。
藤井家に伝わる家訓のなかで、私に最も響いたのは、「兄弟の仲を良くしないと家運が下がる。」でした。私が企業への支援者として関わっている会社でまさにそのようなことが起こっているからです。大切なことは時代を超えて普遍的であると感じました。
プレゼントとして軍手をいただきました。表にはサンタクロースの絵があります(フィンランドのサンタクロース公認の会社、除雪機だそうです)。今レポートを書きながら、どこで使おうかなと楽しみにしています。たぶんこの軍手は製品を購入されたユーザーのプレゼントなのでしょう。そう考えるとこの手袋をして草刈りをしたり、除雪をしたり、そんな風景が見えてきます。
今回は訪問させていただき、ありがとうございました。