株式会社グローバル・クリーン様

訪問日:2019年9月7日

宮崎県日向市にある株式会社グローバル・クリーンに訪問しました。

同社へは2014年4月に訪問してから5年ぶりとなり、以前の老朽化した建物に入っていた本社から、緑色の研修用施設とオレンジ色の事務所のふたつの建物が並ぶお洒落な社屋になり、経営の継続自体に悩まれていた以前との変化に懐かしさより隔世の感を覚えると同時に、きっかけがあり、それを掴み努力すれば人も会社も良くなる例として、尊敬と同時に心から嬉しく思います。

同社は名前の通りクリーンにする仕事である施設内清掃や他社へ掃除技術をコンサルティングする事業を行っており、世界トップレベルのクリーニング技術を持っています。

代表取締役社長の税田和久氏(写真左)から会社説明と施設案内をしていただきました。

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社長の生い立ちとして20代で東京でのフリーター生活から「東京の会社も大したことがない」と感じ、相手をするなら世界に向かって仕事をしようと社名に「グローバル」と名付けたこと。売り上げが上がらず悩んでいた時に世界レベルのクリーニング技術を学ぼうと借金して海外へ出張し技術の習得と海外のクリーニング製品取り扱い権を交渉して得たことなど、普通であれば日本国内の事業が成立して安定してから海外へと進出するところを、一段超えていくあたり、閉そく状態を打ち破る若者であり変わり者であったことがうかがえます。このような理由で質の高いクリーニングが出来、コンサルティング(クリーンコンサル)が出来る点が強みとなり成長の一要因となっています。現在、個人事業として8年、法人化して12年の合計20周年目となり「ようやく成人し、一人前になった」と社長は仰っていました。ただ会社組織としての形が明確になり経営が安定するかどうかの時季は近年の5年の間であったことから、会社「組織」としての体を成したのは最近という事になります。その意味でまだ若い会社と捉えた方が良いと思います。

従業員構成は現在、正社員11名、契約社員1名、パートアルバイト54名です。清掃会社の業態として建物施設の清掃依頼があると仕事が発生します。その意味で従業員数とその労働時間は受注数に合わせて上下することになります。パートアルバイトの人数が多いのはこのような事情がありますが、雇用の調整弁としての立場の者を減らすことが出来れば更に「いい会社」として高く評価できます。それには受注量の安定、依頼の継続、適正な会社規模が求められ、これには顧客がグローバル・クリーン社を理解すること、認知度、従業員の仕事の質を高めること(顧客満足度向上)などがあると思います。

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掃除道具

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社内報

また、清掃場所各所へ従業員を送る形態から組織図としてピラミッド型ではなく、トップの下は横一列の文鎮型を採用しています。パートアルバイトの上が正社員となり、正社員が管理職となっていれば良いと思いますが、次は管理職としてのキャリアを積むためにはもう一つ上の職位があってしかるべきと考えます。最終的に社長と専務が長期出張などで会社から手を放す時期があっても会社が回るようにできることが、経営の安定につながります。そして、すでに多くの方々の協力を得て大きくなった社会の公器としての意味合いにおいて、会社の継続性が求められ、100年後も安定して職を提供できる「いい会社」のあるべき姿に近づいていくのではないかと考えます。

従業員の内訳として経営者である社長と奥様の税田倫子専務を含め、女性40名、高齢者19名、障がい者4名、外国人1名と女性中心で様々な事情を持った方々が働いています。社長は過去の人員確保の苦労から就業希望者の声を拾い、子育て中で短時間勤務を望むものが居れば短時間勤務を採用し、託児所利用の半額補助や夜間勤務への配慮、看護・介護きゅうかを法定日数以上取得可能とし、子供の急な病気などに対応できるよう、ジョブローテーションによって従業員同士で仕事がカバーできる多能工化を進めるなど「戦力になる人を探すのではなく、わが社に来てくれた人を戦力にしよう」の発想の転換をもって様々な事情で一般的な就労が難しい地元の就業希望者を雇用できるように工夫を続けてきました。

5年前の訪問時、次世代育成法の一般事業主行動計画が丁寧に策定されていたことと、これを伸ばす方向をお勧めした記憶があります。社長は覚えてらっしゃるか分かりませんが、今回の会社説明では過去の計画を更に拡充し、工夫している内容を多く見ることが出来、仕事と家庭の両立支援が進むことによって人手不足を解消できる好事例を見ることが出来ました。また従業員同士の助け合いが無ければ両立支援が成立しない部分もあり、その「お互い様」といった理解について、従業員との話し合いにおいて産業カウンセラー資格の取得が役に立っているようです。今回の参加者の中にも産業カウンセラーを取得された方がおり、社内でのコミュニケーションの質向上に役立っているとのお話を聞いて、興味がわいてきました。

資格では食品製造業関連の清掃に求められているHACCP(製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法)のトレーナー資格を専務が取得されたとのことで、同業他社から一歩先を見据えた努力をされています。このような様々な努力と工夫によって大手より1.5倍と地域で最も高い料金設定をしているにもかかわらず、選ばれる会社となっており、値下げ競争の負のスパイラルから一抜けた姿勢は、どの会社も学ぶべき大切な部分です。

障がい者が施設等へ清掃に来ること自体を嫌う人も未だ世間には多くおり、障がい者が安心して働けるまちづくりとしてシンポジウムを行っており、お話によれば急な参加者応募であっても当日満席になるほど世間のニーズと動きはあるようです。このまま地元宮崎を中心にして、いい社会をつくる活動を続けてほしいと思います。

先述のように税田社長とは5年以上前からのお付き合いがありますが、お会いするたびに背筋が伸びて堂々とした風格のようなものが出来つつあります。ご本人は「私が説明する側になるなんて、へへへ」と照れておられましたが、「Core Valuesわが社の共有価値観」として社長が一つ、これだけは入れたいとの想いが「一人一人の無限の可能性を信じ共に成長します」であり、他社が悩んでも解決できない課題を一つずつ解決して成長し現在があることを想えば、今後も謙虚に学び続け、従業員の声を紡ぎ、ステークホルダー全員が望む会社を形にされていくのではないかとの希望と期待を持っています。

今回もありがとうございました。

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左から4人目が税田和久社長 5人目が倫子専務