平成28年5月25日、社会福祉法人隆生福祉会の「ゆめパラティース」「ゆめ中央保育園」に訪問しました。
遡ること3月に社会福祉法人隆生福祉会を含む「フジモトゆめグループ」のフジモト眼科に訪問しました。ほかの病院では見られない、素晴らしい環境を拝見することができましたが、その際に、フジモト眼科の他にグループとして数年の間に事業と施設をいくつも設立してきた勢いについて、もっと知りたいと思っていました。
特に今回訪問する老人ホームは世間一般的なイメージ「仕事がきつい、給料が安い」といった、あまり良くない仕事として見られている中、どのように経営されているのか興味がありました。
「特別養護老人ホーム ゆめパラティース」は兵庫県尼崎市にあります。道で言えばメインストリートから外れた工場が隣接する場所にあり、特に好立地というわけではありません。あえて言えば工場とは反対の側に公園があり、施設の中からきれいな緑が見え、利用者とその家族の癒しとなっています。工場の騒音対策に、防音ガラスを建物に使用するなどの努力をされており、それと同時に工場側にも防音対策などの協力を求め、工場側の敷地の木を切らないよう緑を残しています。
施設に入ると豪華なソファーやピアノの自動演奏、中庭の景色が美しく、高級ホテルに来たと間違うほどの洗練された空間となっており、それは入所者の利用されている部屋や階であっても徹底されています。階ごとに名前とテーマがあり、ユニットに分けられた部屋割りごとに、カーテンや時計の色まで決めて合わせており、物の配置もすっきりしており清潔で、壁や椅子などの質感も落ち着きと質の高さを感じさせます。
様々に理由はあるでしょうが、利用者が老人ホームへ親を入れる負い目を感じないで、むしろ安心感を抱いてもらえるように努力されている点と、求職者が見学に来た時に、ここで働きたくなるように、綺麗な環境は必要であると聞きました。
病院や施設によく見られる、壁の張り紙がありません。理由を聞くと、職員一人一人が意識すれば、張り紙をする必要がないそうです。
当施設は設立3年目のため、新卒採用やグループ内の施設からの異動で雇用されているようです。そのため若い人が多く見受けられましたが、元気でありながら落ち着いた様子です。職員の方に道具の説明と予定になかった質問もさせていただきました。明るい笑顔でハキハキとお話しされる様子から、働きやすい環境で、暖かくしっかりした教育を受けているように感じられます。
入所者の入浴や、ベッドへの移動は職員にとって体力のいる動作です。その軽減にリフトが用意されています。理事長の提案で「職員を大切にしよう」と導入されたのだそうです。
統括部長の加藤様や藤本施設長らにお話を聞きました。施設と環境を美しくすることや職員の心構えから働き方まで藤本理事長が各施設を見て回り、事細かく指導されています。月2回の運営会議は施設を変えて行い、それ以外にも頻繁に来て指導されるということで、理事長の方針や考え方が伝わるよう徹底されています。運営会議では特に、職員からの提案のできる場であり、それを聞き入れることによって改善ができたり、さらにセンスの良い環境つくりに活かされているように見受けました。以上を聞いて私は藤本理事長は現場が好きで、仕事の哲学が明確にある方だと思いました。また、これによりトップのぶれない姿勢が直接伝わり、職員の皆さんは安心して仕事ができるのではないでしょうか。
お昼は、経営されている「洋食レストランKiitos 」さんで藤本理事長と共に昼食をいただきました。その際に質問として「センスを磨くために何をされていますか?」と尋ねたところ「本を読み、綺麗なものを見て、素敵な人に会うこと」とお答えくださいました。今書きながら、これは人生を豊かにすることであると気づきました。
午後は大阪にある「ゆめ中央保育園」に訪問しました。
こちらではプロテニス選手にテニスの手ほどきを受けられ、外国人英語教師は常駐で教育しており、教育の現場を拝見しましたが、子供たちは体で英語を身に着けているようでした。さらにはお茶室もあり、武者小路千家の先生がお茶を教えてくださるようです。その際には子供たちはきちんと座ってお茶をするとの事で、子供の吸収力の凄さを再確認しました。このように子供の可能性を本当に信じて、伸ばす方法を「実行」されている点が他の保育園と全く違うように思います。
大谷園長を中心にお話を聞いたところ、大谷園長は元はアナウンサーをされていた方で、話し方を藤本会長・理事長にレクチャーしていたところ、保育園を設立する前に園長就任を依頼され、今に至るそうで、場所を用意する前に人の人選が先で、さらに「この人だ」と思える人を勧誘して自社へ来てもらえる人望や伝え方も、理事長の凄いところです。プロテニス選手も口説いて来てもらっているようです。
今回私が一番強く感じたのは事業の立ち上げ前から「『いい会社』にしよう」とイメージし、スタート時から方針を貫いている点です。これによって勢いが途切れることなく継続し、また別の事業に着手出来るだけの余力が生まれるのではないでしょうか。
今回も、今まで学んできたことの再確認と、実感としての学びを得ることができました。ありがとうございました。