平成28年3月29日に「いい会社」の法則実行委員会の病院版、「いい病院」見学会として大阪にある「フジモト眼科」様に訪問しました。

関西勉強会メンバーを中心に中日本メンバーの私や、遠くは東京、宮崎県からの仲間も参加し、非常に意欲的な見学会となりました。

 

施設の入り口近くの看板の横には大きなキリンの像があり、今月は卒業シーズンに合わせて学生が卒業式で着る袴と帽子を着せられていました。これは毎月変わるそうです。このアイデアは広告代理店から引き抜いて現在事務長として働いておられる方が提案され、実際の着せ替えも行われているそうです。

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学校から職業生活まで医療畑で過ごした人では出てこない発想を取り入れるには、やはり別の業種の人材を取り入れることが重要であると同時に、人材の重要さを実感し、採用し、さらに、その人物の医療業界の非常識に当たるであろう提案を採用して実行するところまで出来ている実例を見ることが出来ました。これにより、組織に多様性が生まれ、組織の外と内側の変化に柔軟に対応できるようになると考えられます。

 

建物は2012年に現在の診療所に新規建替移転をされたばかりであり、目玉は壁一面のステンドグラスです。明るく、美しい陽の光が院内に差し込んでいます。

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そしてスタッフ(職員の呼称)の明るい笑顔と患者への接遇により、施設内には穏やかな空気が流れています。

 

参加者の一人が「医師が患者への説明の際に、膝をついて目線を低くして話されていた」と報告していました。病院では患者というお客が自由に病院を選べるため、その選択基準に「患者が考える良い医師かどうか」が入ってきます。それを知っていても丁寧な説明ができない医師も世の中にいる中、フジモト眼科では評判の良くなるよう、努力されている様子がわかります。さらに、医療業界の階級で最高の位置にある医師の姿勢がスタッフに影響するため、医師の振る舞いは非常に重要であり、その意味もあるように見受けられました。

 

フジモト眼科は、その経営の目標を高く設定されており、患者様には来院からお帰りになるまで楽しく過ごしてもらいたいとの想いで「ディズニーランドを超えよう」と努力されており、眼科ならではの目標として「白内障の手術を年間1万件おこなう」ことを目指しています。

現在は年間1000件を超えたあたりであり、これでも大阪圏内の病院では順位の高い数字となっているため、1万件は途方もない数字です。これを掲げることは、それなりの病院規模を目指すことを意味しています。しかし、過去の手術件数の増加率と経営状態から見て、1万件突破は、スタッフ数の増加による組織化の再整備や、新施設の建設もしくは吸収合併によるグループの追加による幾つかの壁を乗り越えれば、可能性があると思います。

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このような素晴らしい病院であっても雇用の安定に苦慮されており、少しでもスタッフの働く環境を良くしようと努力されていました。今後は入職後の研修をしっかりと行い、働き始めの戸惑いや不安を軽減する取り組みをしようとされている様子です。離職率の低下によるスタッフのフジモト眼科独自の思想・文化や技術そのものの蓄積が高まることでしか患者へのサービス向上は望めない事実からも、今後もこの点に注力する必要があるように思います。

 

理事長で院長の藤本雅彦様を中心にスタッフの方々が私たちの、ぶしつけな質問に正直に答えてくださり、その人柄を感じることが出来ました。

「いい会社」「いい病院」の経営者とお会いすると、年上の男性の方には失礼になるかもしれませんが「可愛らしい」「お茶目な」人間的魅力を感じます。

特に医師は一般的には(私が見てきた医者の多くは)、人を見下した態度をとる人が多く、それに対して藤本理事長の優しい雰囲気は異色と言えるほどであり、それだけで他の病院との差別化となるように思います。

お土産にいただいた書籍を拝読し、創業者の藤本隆生様、それを引きついだ妻の加代子様、そしてそのご子息の雅彦様と、歴史を知り、創業から重ねて来られた患者を大切にする姿勢を知ることが出来ました。

更に、藤本理事長は「人としての、あるべき姿」を自然と体現されているように感じました。一般的な物事の「してはならないこと」「すべきこと」を守る姿勢は、他の業種よりも失敗を許されない医療の業務では非常に重要であり、経営判断を間違える可能性が低くなります。またスタッフにも自然と少しずつ伝わり、行動に変化が生まれるのではないでしょうか。さらに、様々な取り組みを行う上で工夫するセンスにも影響すると考えられます。それがキリンの衣替えや駐車場の動物、チンパンジーやハッピーカードの形で表れているようです。これが見学者の私にとって安心できる場所と感じる要因になっていると考えました。

 

理事長の想いが形に現れたように、施設内の至る所一つ一つにスタッフへの心配り、患者への心配りがあり「いい病院」でした。

今回の学び、感じたものを今後の仕事につなげたいと思います。ありがとうございました。

 

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